ピアス孔(ホール)完成後:腫瘍、ケロイド


8.
男性からの質問
メールありがとうございます。
早速回答いたします。

質問1.> 1ヶ月ほど前にピアスを開けたのですが、耳にしこりができたんです。 でも、押してもほとんど痛みを感じないしこりなんです。

回答:ピアスをあけたとき頻度の多い合併症には感染や消毒薬、金属などによる接触性皮膚炎(金属アレルギーも含む)があります。ピアスをあけて6週間はピアスを交換せずにそのままつけっぱなしにしておくことがポイントですが、2週間程度でピアスを交換しようとすると、トンネル(皮膚がはって十分に完成していない)の壁を傷つけて皮膚が埋没し、皮膚の老廃物をためて袋状になることがあります。アテローマあるいは粉瘤といいます(のう胞)。他にはケロイド、外傷、ピアスや止め具の埋没などがあります。ご質問の状態はのう胞ができた状態と考えられます。

質問2.> 病院に行ってしこりを取ってもらった方が良いのでしょうか?

回答:もしピアスの交換がスムースにできれば、感染をしていないようなので早急な処置は必要ないでしょう。まだできて間もないようなのでピアスの交換時に無理な力をかけてトンネル部分を傷つけないように配慮してください。今後、交換に支障がない場合は経過をみても結構です(自然消退する可能性もあります)。気にして強い力で触ることはのう胞を大きくしてしまうことがあるのでご注意下さい。どうしても気になるときは切除することができますが、病院によってピアスの孔を塞いでしまうところと孔を残す(手術時にピアスをつける)かは主治医の先生によって方針が異なるでしょう。大きくなったり、痛みがでてきたり,赤く腫れた場合は病院を受診する必要があります。


おわりに:アテローマは顔や背中などからだの他の部位にもできます。袋の中心部に臍があり、手で押すとそこから白あるいはグレーの内容物がでたり感染を起こして腫れることもあります。しかし,耳垂の場合はトンネル内にあるため手で押して内容物がでてつぶれることはなかなかないようです。



11.

はじめまして。
ピアスホールのことでご相談させてください。
 
病院でピアスを開けてもらい、もうすぐ4ヶ月になります。
この4ヶ月の間には、左耳のピアスホールから
脂肪の固まりが出てピアスが入らなくなり
病院で取り除いてもらったことがありましたが、
その他には特に変わったことはありませんでした。
 
いつも入浴時はピアスを付けたままで、
ピアスホールを石鹸で洗ってよくすすいでいます。
入浴時にピアスを外して洗うのは
10日に1回くらいです。
なおピアスを外して入浴したあとには、
病院でもらったアクロマイシン軟膏という
化膿止めを塗ってからピアスを付けています。
 
今日、入浴時にピアスを外したところ、
右耳のピアスホールがプックリと腫れていることに
気づきました。
以前左耳から脂肪が出た時もピアスホールが腫れていて、
病院の先生はそれを押し出すように取ってくださったので
これも同様かと思い押したところ、
初めは脂肪と思われる白いもの(固まってはいません)
が出てきましたが、
そのうちに出血してきました。
痛みはありません。
入浴後にもう一度よく押し出すと、
少しづつ出血して腫れは少し引きました。
しかし左のピアスホールに比べるとまだ腫れています。
腫れというか、しこりのような感じです。
ひとまず病院でいただいたアクロマイシン軟膏を塗布し、
ピアスを戻しました。
痛みはありましたがすぐにピアスは通りました。
 
 
先生へのご相談はこのようなことです。
 
@この右耳のピアスホールを医師に診てもらったほうがよいでしょうか?
Aこのようにしこりができてしまう原因はなんですか?
Bピアスホールとピアスの正しいケアの仕方は?
   ・・・・・ピアスホールを開けてもらった時にいただいたのは
       アクロマイシン軟膏のみで、
       ピアスホールの消毒をするものは何ももらいませんでしたが、
       他の病院で開けた友人はきちんと消毒液をもらっていました。 
       ピアスホールの消毒は必要ないのでしょうか?
       なお、ピアスそのものの消毒はしなくてよいのですか?
       また、毎日ピアスは取って入浴したほうがよいのですか?
 
 
以上のことについてご説明いただければ幸いです。
よろしくお願いします。
 
回答
メールありがとうございました。詳しい経過を報告して
くださいましたので良くわかりました。
早速回答いたします。
質問1.     
@この右耳のピアスホールを医師に診てもらったほうがよいでしょうか?
回答:経過からみて粉瘤(アテローマ)と考えられます。この腫瘍はまれに悪性のものがありますがほとんどは良性です。良性であっても大きくなったり、感染を起こすことがあります。小さなものは自然消退することもあります。したがって大きくなったり,感染(腫れ、痛み、赤くなる,滲出液や膿が出る、熱感を感ずるなど)起こしたとき、ピアスをするのに支障があるときは受診することをおすすめします。小さくて気にならないときは経過を見ても大丈夫でしょう。経過の中で出血は無理やし押し出したためとみられます。
 
 
質問2.
Aこのようにしこりができてしまう原因はなんですか?
回答:粉瘤は皮脂腺の出口が何らかの原因で閉鎖されたときに外に出れない皮脂がたまってしまうことによってできる場合と,外傷などで皮膚そのものが皮下にめり込んでできる場合があります。ピアスによってできる場合はピアスの刺入時の外傷によることが多いです。ピアスの孔の壁面(トンネルの壁)に十分に皮膚がはっていないときにも傷つきやすいです。右利きの人は左の耳垂(耳たぶ)のピアスに対しては通しやすいですが、右の耳垂は通しにくいため傷をつけてしまうこともあります。
また、耳垂のピアス軸(孔)の方向が刺入しにくい方向にあると左耳も傷をつけてしまいます。小さなものは内容物(皮脂:白いクリームあるいはおから状ですが空気に触れると灰色から黒色になり、独特の匂いが出ます)がでてしまえば自然になおることがあります。体では背中、顔,耳の後ろに良くできます。腫瘍の中央部に臍(根づまりしたところ)があれば診断の決め手になります。耳ではトンネル内にできるとみえません。手術では袋ごと取り除くのが一般的ですが、大きくなると手術の傷が大きくなってしまいます(これに対して臍を切開して内容物を出し小さくしてから手術を施行する方法を学会で発表しました)。耳垂の場合は小さいので手術をしても傷はめだたないでしょう。
 
質問3
Bピアスホールとピアスの正しいケアの仕方は?
   ・・・・・ピアスホールを開けてもらった時にいただいたのは
       アクロマイシン軟膏のみで、
       ピアスホールの消毒をするものは何ももらいませんでしたが、
       他の病院で開けた友人はきちんと消毒液をもらっていました。 
       ピアスホールの消毒は必要ないのでしょうか?
       なお、ピアスそのものの消毒はしなくてよいのですか?
       また、毎日ピアスは取って入浴したほうがよいのですか?
回答:ピアスホール(孔)の消毒の是非についてですが、消毒とは本来感染を起こす危険性のある場合(例:外傷)、あるいは清潔に処置をする時(例:注射)に使用します。ピアス孔は外傷ですが清潔な傷です。したがって消毒をしなくとも傷は治ります。しかし、傷から滲出液がでたり出血してピアス刺入部位の周囲がよごれますのでシャワーによる洗浄を勧めています。3日間の洗浄ですが、ピアス刺入口が治ると外から汚染されにくくなるのを目安にしています。詳しくはQ&A3、4、5、6番の方の回答が参考になるでしょう。消毒をすると消毒液により傷が治るための上皮細胞の増殖を消毒液の毒性によって押さえてしまいます。傷を早く治すには、感染している場合は創傷治癒に与えるダメージが消毒による毒性以上に大きいので使用しますが、感染していない場合は消毒をしない方が傷は早く治るのです。以上のことで消毒液を使い分けようとしたらピアスの場合は傷に消毒液はあえて要らないのです。ピアスの軸は外から汚染されない限り、ピアス孔が完成するまではつけっぱなしで洗ったり,消毒したりする必要がないのです。また,軟膏の抗生物質も細胞毒性があります。したがって,汚れの原因にもなるのであえて軟膏は必要ないと考えています。もし軟膏をしようとするならトンネルの壁の部分に塗る必要があり、入り口に塗った軟膏が溶けて壁面まで達する可能性がありますが、軟膏を塗らなくともピアス軸周囲は湿潤環境になっており創傷治癒には良い状態であるのも理由の一つです。ピアスをしたときは最初の6週間(4番を御覧下さい)はお風呂や寝ているときもはずさないようにすることが大切です。ピアスを取って刺しこもうとするとできかかった孔(トンネル部)をピアスで傷つけてしまう危険性が高くなります。粉瘤を作ったり,ケロイド体質の人はケロイドの原因にもなります。孔が完成しないうちはピアスを差し替えないで我慢することがトラブルを防ぐ秘訣なのです。ピアスを施行して4ヶ月ということなので時間的にはピアス孔は完成しているのですが、手術などの処置をした場合は上記方法に準じたケアをされると良いでしょう。ピアス孔が完成していれば入浴時程度ならピアスをはずしておいても問題はありません。はずすかはずさないかは好みに応じてで良いのですが、洗髪のときに髪をピアスに引っ掛けてピアス孔に外傷(裂傷)をきたした症例を経験したことがあります。長期間にわたりはずしておくとピアスの孔が縮じまり、刺入しづらくなります。
 
(おわりに)
ピアス施行後のケアは病院で良く説明する必要があるのですが、創傷治癒に基づいた説明をしないと合併症や創傷治癒を招く原因を作ってしまいます。材料だけ渡して説明がないようでしたら上記のことを参考にして実践されると良いでしょう。


18.

はじめまして。
ケロイド体質の人のピアッシングについてお伺いしたくて
メールいたしました。

私は3日前に病院でファーストピアスを開けました。
ピアスはチタン製のロングタイプでピアッサーで開けていただきました。
その後、朝と夜に消毒ジェルをつけてシャワーで洗う手入れをしています。
今のところ特に腫れもなく、順調なようなのですが、
ピアス関係のホームページを検索していると、ピアスを開けてはいけない人と
いう項目で「ケロイド体質の人」というのを多く見かけました。
私は胸と下腹部にケロイドがあり、以前皮膚科でケロイドになりやすいと
言われました。
このままピアスを開け続けていて大丈夫でしょうか?

怪我をしたら必ずケロイドになるというわけでもないので自分では
重症のケロイド体質ではないと思っていて、
上手くいくのでしたらこのままピアスを続けたいと思っています。
ちなみに以前できた胸と下腹部のケロイドは、にきびが治らず
できてしまったケロイドです。
よろしくお願いいたします。

メールありがとうございました。中村元信です。
回答致します。
肥厚性瘢痕は皮膚損傷後の瘢痕が受傷範囲内で
肥厚隆起したもので,これに対してケロイドは皮膚損傷後、または
損傷の既往なく原因不明に発生し,炎症をともなって拡大増殖する
腫瘤です。
ご質問の中でケロイドについての特徴が
的確に述べられていますのでその部分を引用して
説明致します。

>私は胸と下腹部にケロイドがあり、以前皮膚科でケロイドになりやすいと
> 言われました。
>ちなみに以前できた胸と下腹部のケロイドは、にきびが治らず
> できてしまったケロイドです。

コメント:ケロイドの好発部位です。原因としてにきびや虫刺されなどが多いです。

> 怪我をしたら必ずケロイドになるというわけでもないので自分では
> 重症のケロイド体質ではないと

コメント:ケロイド体質かをみわけるには怪我などの外傷に対する
治癒反応を見るも一つで、前胸部などの好発部位のみにケロイドが
発生し他はなんでもない場合もあります。

 私は3日前に病院でファーストピアスを開けました。
> ピアスはチタン製のロングタイプでピアッサーで開けていただきました。
> その後、朝と夜に消毒ジェルをつけてシャワーで洗う手入れをしています。
> 今のところ特に腫れもなく、順調なようなのですが、

コメント:感染に対しては1週間のうちに発生してきますが、ケロイドは半年後など
からなり時間が経過してからも発生してくることがあります。

質問: このままピアスを開け続けていて大丈夫でしょうか?

回答:耳たぶ(耳垂部)のケロイドは1993年にピアスのケロイドの症例報告を
行なったときは日本人での報告例として3例がありました。その後発表が
増加してきていますが、諸外国の発表例(ケロイド治療448例中
144例が耳垂部に発生、412人中138例に合併症があり
3%に巨大瘢痕など)を見ると人種の差はあるもの
日本では症例はあっても報告されて
いないということも考えられました。
ピアスを続けてケロイドになるかどうかは予測できませんが、
もしできてしまった場合は治療の効果は良いようです。
今後、差し替え時に無理をしてピアス孔に傷を
つけないように注意してください。